全性試験のQ&A

完全性試験とは、主に膜フィルターの定められた捕捉性能と物理的欠陥の有無を確認する試験で、破壊試験と非破壊試験があります。

無菌医薬品のろ過滅菌用フィルターの場合、破壊試験であるバクテリアチャレンジ試験(微生物捕捉性能)と非破壊試験の各試験法が相関をもつよう設計・開発・バリデーションされるため、非破壊の完全性試験に合格することでフィルターのろ過滅菌性能を確認することができます(図1)。

完全性試験

Q. 製薬工程では、完全性試験にほぼ全て自動試験機を使用していますが、手動による試験で実施することは可能ですか?

A. 手動の完全性試験では、管理上および実施上の制限があり困難かと思われます。管理上では、試験手順、教育、技能検定など、自動完全性試験機の導入より大きな負荷がかかります。実施上の制限で最も大きな点は、完全性試験でバブルポイントやディフュージョン流量を測定するためにはフィルター二次側から系を解放して測定する必要があります。これは工程にとって重要なフィルター二次側の無菌性を解放することになりますので、特に最近注目されている滅菌後ろ過前完全性試験(PUPSIT)による完全性管理では適応することが出来ません。

Q. 完全性試験に使用する60%イソプロピルアルコール(IPA)の調整はどのように行うのですか?

A. 弊社のフィルター湿潤液として用いられている60%イソプロピルアルコール(IPA)は、バリデーションガイドに記載されているように正確には60vol%(またはv/v%)です。調整方法の例として、60mLのIPAと40mLの水を混合するという方法です。厳密に言えば60mlのIPAを100mlにメスアップすると正確な濃度とならないので注意してください。

Q. 完全性が不合格の場合、結論が出るまでハウジングベースからOリングを外してはいけないと聞きましたが、何故ですか?

A. カートリッジフィルターには欠損が無く、Oリングがねじれたり、Oリングアダプターから飛び出した状態では完全性が不合格となる可能性があります。この場合不用意にカートリッジをハウジングベースから外すとOリングのねじれ等が戻り、再度取り付けた時には完全性で合格が得られる可能性があります。工程ではOリングのねじれでショートカットのルートができ、一次側の液がろ過されず二次側へと移動し無菌とはならなかったものが、完全性試験の判定前にOリングを一度外すと、再試験において完全性が合格となってしまうエラーを避けるために、結論が出るまでハウジングベースからOリングを外してはいけません。

Q. 2種類の完全性試験を実施していますが、片方が合格であれば合格と判断して良いのでしょうか?

A. いいえ、不合格となった試験結果に関して精査を行い、問題点と思われる条件を改善し、再試験で合格しなければ合格にはなりません。

Q. プレッシャーホールド試験を医薬品製造で使用しても良いでしょうか?

A. ディフュージョン試験規格のパラメータを用いて設定されたプレッシャーホールド規格値、正確に一次側の容量が計測されていて、十分な精度を持つ圧力計で、正確な時計を用い、文章化された手順、機器のキャリブレーションなどが整っていれば、医薬品製造でも使用することはできますが、結果はディフュージョン試験とほぼ同じになります。

Q. フィルターの乾燥方法を教えてください。

A. 「フィルターカートリッジの乾燥ガイド」を参照してください

Q. 実際は完全性試験が合格するフィルターでも、見かけ上不合格になることはありますか?

A. 欠損の無いフィルターでも、汚れ、湿潤不足等の原因で見かけ上不合格になることがあります。

Q. ろ過後に水でフラッシングをしても完全性試験値が安定しません。どのように対応したらよろしいでしょうか。

A. ろ過している製品薬液の影響によって完全性試験値が安定しない場合には、完全性試験因子決定試験を推奨しています。

Q. 完全性試験が不合格になった場合、どのようにトラブルシューティングすればいいでしょうか?

A. 「親水性カートリッジフィルターの完全性試験ガイド」または「疎水性カートリッジフィルターの完全性試験ガイド」を参照して下さい。

Q. カプセルフィルターでウォーターイントリュージョン試験は可能ですか?

A. 可能です。ただし、カプセル形状はLPXのみが対象です。

Q. カプセルフィルターでバブルポイント試験は可能ですか?

A. 可能です。ただし、カプセル形状はLPXのみが対象です。

Q. 親水性膜フィルターのろ過後完全性試験が不合格になった場合のトラブルシューティングとして、60%IPAでの湿潤を推奨しているが、工程に60%IPAを持ち込めない場合、他の湿潤溶媒での完全性試験因子は提供できますか?

A. 親水性膜フィルターの場合、エタノールの用いた完全性試験因子決定試験を行うことが可能です。試験規格などの詳細に関してましては、弊社営業までお問い合わせください。

Q. 完全性試験が不合格になった場合のトラブルシューティングとして乾燥やアルコールフラッシングを行いましたが、再試験では不合格になってしまいました。どうすればいいですか?

A. 完全性試験で不合格となり、その後再度乾燥やアルコールフラッシングを行い、十分な水フラッシング等の適正な手法を用いて湿潤し、完全性試験を行っても不合格な場合、必要があればフィルターサプライヤーへ品質調査を依頼してください。

Q. 30インチのフィルター 12本をハウジングにセットしています。この場合、どの試験法を用いて完全性を判定すればいいですか?

A. ディフュージョン試験または同じ原理に基づくプレッシャーホールド試験の実施を推奨します。

Q. 完全性試験はいつ実施するのがいいでしょうか?

A. ろ過によるフィルター破損が考えられるため、ろ過後の試験は必須となります。GMPの管理ではろ過前にも実施することが求められます。また、2022年に改訂されたPIC/S GMP Annex1では滅菌後ろ過前に完全性試験(PUPSIT)の実施することを基本要件としています。

Q. 疎水性膜フィルターはどの完全性試験法を推奨しているか?

A. ウォーターイントリュ―ジョン試験を推奨します。
フィルターを湿潤させることなく完全性を確認できるため、試験後、フィルター、ハウジングを含む経路の乾燥工程を簡略化できるためです。また、試験には水を使用するので、作業者の安全性も確保できます。
ウォーターイントリュージョン試験はフィルター表面の汚れにより不合格になる場合もあるので、このような場合には60%イソプロピルアルコール(IPA)により湿潤させるバブルポイント又はディフュージョン試験を推奨します。

Q. フィルターの完全性規格値はどこで確認できますか?

A. 製薬用膜フィルターはカタログに記載しています。
その他の製品については営業担当までお問い合わせください。

Q. 親水性膜フィルターの湿潤方法を教えてください。

A. 「親水性カートリッジ完全性試験ガイド」のp5 を参照してください。

Q. 親水性膜フィルターはどの完全性試験法(バブルポイント or ディフュージョン)を推奨していますか?

A. Pharmastar® PSG, PSGフィルターは、お客様の運用経験のどちらの方法でも対応が可能です。しかしながら、10インチを超えるろ過面積の比較的大きなカートリッジの場合、メインろ材であるポリエーテルスルフォン(PES)膜の非対称構造の特性上、ディフュージョン試験の方が安定した結果が得られます。
ただし、フィルターの状態や設置本数、試験条件等により、安定した試験結果が得られない場合があります。貴社の状況に応じた最適な試験法選定の目安は以下になります。
【バブルポイント試験が最適となる事例】
・低ろ過面積(ディスクフィルター、10インチ以下のフィルターカートリッジ)
・試験中に温度変化が起きやすい試験ライン
【ディフュージョン試験が最適となる事例】
・高ろ過面積(ハウジング内の設置本数が20インチ以上 or 10インチが2本以上)
・湿潤液や膜の汚れにより膜の表面張力や接触角が変動する場合

Q. 使用後のエアフィルター(疎水性膜)が汚れていた場合、完全性試験前に適切なフラッシングの方法があればお教えください。

A. ウォーターイントリュージョン試験の場合、フィルター表面の汚れにより試験自体が進行できない可能性があります。この場合、60%イソプロピルアルコール(IPA)により湿潤させるバブルポイント又はディフュージョン試験を推奨します。IPAをろ過する事で汚れが流れやすくなります。ろ過が難しい場合は、浸漬時間を長くすることも有効です。

Q. 完全性試験を実施する際の部屋の環境(湿度、温度)の最適な条件はありますか? 完全性試験機を設置している場所にオートクレーブがあり室温が変動しています。

A. 完全性試験値は温度や湿度に影響されます。そのため、完全性試験ガイドに記載された温度と湿度にて試験実施を推奨しています(※推奨湿度はウォーターイントリュージョン試験のみ)。
また、完全性試験装置メーカーが推奨する設置環境のご確認をお願いします。特に測定中の温度変化は大きな測定誤差を発生する原因となるため、オートクレーブを使用しないタイミングなど温度変化が無い環境での測定をお願いします。

page top